Dear my...         甘々/18禁












「お〜い、日野! こっちだ、こっち!」


雑踏の中、辺りをきょろきょろ見回していた香穂子は、
聴き慣れたその声に振り返った。


「金澤先生っ」


逢いたくて逢いたくて仕方のなかった人。


香穂子は、その胸に飛び込むように抱きついた。


変わらないその顔を見たら、気持ちが抑えきれなくなってしまったのだ。


「うわっ? …熱烈だな〜、お前さんは」


まるで子供をあやす様に頭を撫でる紘人。


いつもだったら『子ども扱いしないでください!』と怒る所だが、
今は逢えた事が嬉しくて、それどころではなかった。








紘人から手術の日程が決まった連絡を受けたのは、つい先日。

壊れたパーツを直すための大切な日。

そんな日に紘人を一人にしたくなくて、香穂子は思い切って渡米を決めた。

ちょうどその日は学校も連休が入って休みだったし、
何よりも…香穂子自身が紘人に逢いたかったのだ。



そして、紘人に渡米の連絡を入れたのは日本を経つ寸前。

空港と到着予定時間を知らせておいた。








「全く…お前さんもホントに人を驚かせるのが好きだな」


「先生も…でしょう?」


苦笑を漏らす紘人に、香穂子は悪戯な笑みを返す。








以前、治る見込みがある…との診断を受けた直後に、
紘人は突然帰国したことがあった。

それも、連絡が来たのはすでに帰国してからだった。

さすがの香穂子も見知らぬ土地で一人というのは不安なので、
到着する前に連絡を入れておいたのだ。



きっと迎えに来てくれると思ったから。



案の定、紘人はこうして迎えに来てくれた。








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「言っておくが、本当に何もない部屋だぞ」


「わかってますってば。じゃあ、お邪魔しますね」


声を弾ませながら、香穂子は部屋へと足を踏み入れた。








突然決めた渡米で宿泊先を決めずにやってきた香穂子は、、
紘人が住んでいるアパートへとやってきた。


アメリカに滞在中の仮住まいだからなのか、
1Kととてもシンプルな紘人の部屋。

寝室が少しだけ散らかっているところが紘人らしい。








「この辺は、アメリカにきても変わらないんですね」


クスクス笑みを零しながら、香穂子は無造作に脱ぎ捨てられた服をたたむ。


「アメリカにくれば変わるもんでもないだろう」


スーツケースを寝室の隅に置くと、紘人はぼすんとベッドに腰掛けた。


香穂子は、それに続くようにその隣に腰掛ける。


近い温もりが嬉しくて、笑みが止まらない。


「…悪かったな」


ふいに真剣な瞳を見せる紘人。


その言葉の理由がわからず、香穂子は首を傾げた。


「アメリカまで来させて…さ。
…お前さんも音楽科に編入したばかりで大変だろう?」


「いいんです。私が先生に逢いたかっただけですから」


ふわりと微笑み、その肩にことりと寄りかかる。


実際、紘人に逢えてこんなにも嬉しくてたまらない。


「と…とりあえず、疲れただろ? このベッドはお前さんが使って良いから」


突然立ち上がった紘人。


香穂子は思わずその袖を掴む。


「一緒のベッドで…寝ればいいじゃないですか」


自分が紘人の部屋に押しかけているのはわかっているし、
それで紘人がどんな反応をするのかも、大方想像していた。


それをわかった上で、香穂子はこの言葉を口にしているのだ。


驚いた様子で振り返った紘人の顔は、
照れたような…困ったような、そんな顔。


「…あのな。お前さんはまだ高校生で、おれはオッサンでだな…」


「そんなの初めからわかってたことじゃないですか」


さらりと答える。


「…ここは俺の家でだな、俺とお前さん…二人きりなわけだ」


「わかってます」


香穂子の言葉を聞くと同時に、その身体がどさりと後ろに押し倒された。


広めのベッドが軋み、吐息を感じるほどに、紘人の顔が近づく。


「ここで俺に何かされても、誰も助けに来ない」


「…わかってます」


目の前の瞳が一瞬だけ揺らぐと同時に、唇を塞がれた。


始めは、ただ触れるだけの口付け。


啄むように、何度も何度も唇を甘く吸い上げる。


「…っ…は…」


どうにか息継ぎをしながら、紘人の口付けを受け入れた。


次第に舌を絡ませ、口内を貪る様な激しい口付けへと変わる。


「…ん…っぅ…」


今までにないほどに永く、激しい口付け。


熱くとろけるような刺激に、
香穂子の手はいつの間にか紘人の胸元を強く握り締めていた。


「…嫌だって言っても、やめないぞ?」


香穂子が返事を紡ぐ前に、紘人の唇が再び重ねられた。








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「…っ…」


まだ誰も触れたことのない場所へと、紘人の指が触れる。


紘人からの永い口付けで熱くなっていたそこは、すでに蜜を零していて。


ぬるりと指が滑ると不思議な感覚と恥ずかしさが襲ってきて、
思わず香穂子の頬が熱くなった。


「…濡れてる」


「…っ…言わなくて、いい…っ」


あまりの恥ずかしさにふいと顔を逸らすと、
紘人はふわりと笑んで、香穂子の首筋に顔を埋めた。


「…力、抜いてろよ」


「…っぁ…」


耳元にかかる吐息と共に、ゆっくりと指が埋められる。


くちゅりと音を立てながら、紘人は指を奥まで進めた。








鈍い痛みと、圧迫感。

それ以上に訪れたのは、芯が熱くなる様な甘い感覚。

熱い芽を指先で触れれば、どくんと蜜が溢れ出す。

恥ずかしいはずなのに、香穂子の唇からは甘い吐息が零れ落ちた。



徐々に指が増やされ、圧迫感と共に感じる動きに、
蜜がどんどん溢れ出していくのがわかる。








「…っ…せん、せ…っぁ…」


聴こえるのは、淫靡な水音と…自分の唇から漏れる声。


恥ずかしくて抑えようとしても、つい零れてしまう。








身体が、熱い。



紘人の唇が触れる度、

その指が動く度に、火がついたように熱くなる。



恥ずかしいのに、もっと触れて欲しいと…そう思ってしまう。








「ひゃ…っ…ぁ…っ」


ふいに暖かくぬるりとした感覚が内腿に触れ、
香穂子の身体が大きく跳ねた。


大きく開かれた足の間に顔を埋め、
その白い腿を甘く吸い上げる。


白い肌には紅い花弁が散り、
その唇はやがて蜜を零す場所へと移動する。


「や、だ…っ…ぁぁっ…」


蜜を味わうように、舌がぬるりと周囲を這う。








指の動きと、その周りをなぞられる感触。

その二つが合わさって訪れるのは、
どうしていいかわからなくなる程の熱。








「…も…ぅっ…へ…き、だから…っ」


ふるふると身体を震わせ、潤む瞳で紘人を見つめる。








早く一つになりたくて。

早く紘人のものにして欲しくて。








吐息を乱しながら、紘人に必至の想いで言葉を紡ぐ。


「も…だめ…っ…はや、く…っ」


香穂子の言葉と共に唇を離す紘人。


その唇から透明な雫が糸を紡いでいて。


その糸を指先で切るその仕草がなんだか色っぽくて、
更に恥ずかしくなる。


「…早く、なんだ?」


息を切らす香穂子の髪をそっと撫ぜ、どこか悪戯気に笑む紘人の顔。


「…っ…わかってる、くせに…っ」


恥ずかしくて腕で顔を覆い、香穂子は顔を逸らす。


すると、ふわりと笑む吐息と共に、
紘人の顔が香穂子の首筋に埋められた。


「ん…っ…」


同時になくなる圧迫感に、思わず声が漏れてしまう。


ちゅ…と耳たぶに紘人の唇が触れる。


「…いいんだな?」


耳元にかかる吐息にぞくりと身体を震わせながら、香穂子はこくりと頷く。


そして。


「…っ…ふ…ぅっ…」








貫かれる痛みと共に訪れたのは、
先程までとは比べ物にならないほどの圧迫感と熱。

それは声にもならなくて。

噛み殺すような吐息に変わる。



ゆっくりと時間をかけて、熱い昂りが香穂子を支配していく。








「…っぅ…っ…」


痛みを堪え、ぎゅっとつぶった瞳。


その瞳に、甘い口付けが落とされる。


ゆっくりと瞳を開くと、すぐそこに紘人の顔があって。


それがとても幸福でたまらない。


「…せんせ…好き…」


香穂子はにっこりと微笑んで大きなその背に腕を回すと、
その唇に口付けた。








触れただけの口付けの後、
ゆっくりとした動きと共に、紘人の指がするりと双丘へと伸ばされた。

先程の蜜で濡れていた指はひんやりとしていて、
また違う刺激を感じさせる。



ぬるりと、肌に蜜を塗りつけるように動く指先。



それが頂に触れると、香穂子はますます身体を震わせる。

指で軽く弾くように与えられる刺激に、
紅い雫と共にとろりと蜜が溢れ出す。








「…香穂…」








甘い声と共に訪れる刺激。

すでに痛みはなく、蜜がどんどん溢れ出る。

紘人の優しい声が、この身体をより熱く痺れさせる。








「…っ…だめ…っ…わたし、だけ…っ…あぁぁぁっ」


一際高い声を上げて高みを迎える香穂子。


くったりと力を失った香穂子の身体を、紘人はそっと抱きしめた。


「…せんせ…まだ、なのに…」


泣き出してしまいそうな声で呟き、その胸に顔を埋める。


その頬に、優しい口付けが落とされる。


「…まだ、平気か…?」


「え…? っあ…」


香穂子の返事も聞かず再び動きが再開され、
思わず紘人にしがみつくように抱きついた。


「…今度は俺の番、な…?」


ちゅ…と優しく口付けると、紘人はどこか悪戯気に笑みを浮かべた。








「あっ、あっ…っ」








香穂子の中で更に拡張していく熱。

先程よりもずっと激しい突き上げに、香穂子の吐息が更に乱される。



何度も、激しく深く、奥へと突き上げられる。



先程高みを迎えたばかりの敏感なその場所からは、
熱くて大きな昂りを感じ、再び蜜を溢れさせていた。






「…香穂…愛してる…」








耳元で囁かれた甘い言葉。

その言葉と同時に、
放たれた熱を感じながら、香穂子は再び高みを迎えて意識を手放した。








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「ん…」


「…起きたか?」


さらりと髪を撫ぜられ、香穂子は開きかけた瞳を擦る。


「ぅん……」


しばらく眠そうに瞬きを繰り返し、ようやく意識をはっきりとさせた。


「…お前さん、寝起き悪いんだな」


クスクスと笑みを零す紘人に、
香穂子は一瞬頬を膨らませ、すぐにぷいっと顔を逸らした。


「…先生が、あんなにするから…」


身体がだるいんです。


言って、思わず頬が熱くなる。








全身の鈍い痛みと、掠れかけた声。

昨夜の紘人を思い出す。



あんなに色っぽい仕草も。

あんなに泣きそうな顔も。

香穂子は初めてで。



初めて見た紘人のいろんな顔。

恥ずかしかったけれど、とても幸せで…嬉しかった。








ちゅ…と、紘人の唇が香穂子のそれに寄せられる。


「ん…ぅ…」


絡め取られてしまいそうに、熱くとろけるような口付け。


うっとりとその熱を感じる。


「…紘人、だろ?」


囁かれる言葉。


香穂子は思わずきょとんとしてしまう。


「…紘人って呼んでみろよ……香穂子」


ふわりと微笑む紘人。


それは今までに見たことがないくらい優しくて。








「紘人、さん…」








初めて呼ぶその名は、少し恥ずかしくて…でもすごく幸せで。

ようやく紘人の本当の恋人になれた気がする。








はにかむ香穂子を再び腕の中に閉じ込めると、紘人は苦笑を漏らした。


「あー…マズイな」


「…? 何が…ですか?」


苦笑の意味がわからず、首を傾げる香穂子。


「…これ」








首筋や胸元。

白い肌に無数に散った昨夜の証。

それは明らかに服を着てもわかってしまう位置で。








「〜〜〜〜っ」


香穂子の顔が、火を噴いたように熱くなる。


「…まあ、仕方ないな」


「し、仕方なくないですっ」


「…いいんだよ」








    俺が、もっとお前を独占できるから。








そっと呟かれた言葉。

恥ずかしくて頬が熱くなるが、
言葉を紡ぐ前に、その唇は再び紘人の口付けで塞がれた。



















何をどうしたら短編がこんなに長くなるのでしょうか。。。。
書いててびっくりです。

紘人に逢いに行く香穂を書きたかっただけなんですが(笑)
で、でも!甘くはなったと思います!(無理やり)



















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